事業者団体規制


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5 事業者団体規制

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条文

2条2項 8条

定義規定

2条1項<事業者>

 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のた
めにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者
は、次項又は第三章の規定の適用については、これを

事業者とみなす

2条2項<事業者団体>

 この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする
以上の事業者の結合体
又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者
の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融
業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まない
ものとする。&#
8594;但書=持分会社

 @ 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団

 A 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他
の財団

 B 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体

禁止規定

8条<事業者団体の禁止行為>

事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない

 @ 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。

 A 第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。

 B 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。

 C 構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限す
こと。

 D 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。

事業者団体該当性判断

@構成員が「事業者」であること

 →2条1項 「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者

 →経済的事業(=対価を得て商品・役務を継続反復して提供すること)を独立して行う者

  事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者 みなし規定

  →役員や従業員の勉強会も事業者団体に該当する場合がある、異業種間も○

A共通の利益を増進することを主たる目的とすること(2条2項)

 →共通の利益

  構成事業者の経済活動上の利益に直接又は間接的に寄与するものをいう

  ※構成事業者の個々の具体的利益か、業界一般の利益かを問わない

  ※学術団体、社会事業団体、宗教団体等は含まない∵共通の利益増進目的がない

 →主たる目的

  ※定款や規約で定められている目的にとらわれずに活動内容等から実質的に判断

B2つ以上の事業者の結合体・連合体であること

 →社団、財団、組合等の契約といった形態を問わない(2条2項@〜B) 持株会社は×

 ※構成事業者とは別個独立の社会的存在があるといえるかどうかがポイント

禁止規定の該当性判断

<総論> 8条の各号の検討の前提

事業者団体の意思決定に基づくといえることの認定が必要

 →・正規の意思決定機関があり、その議事を経た明示の決定であれば○

  ・正規の決定がなくても、慣行等に基づく事実上の決定でも該当する場合あり

   =実質的に団体の意思決定であると認められるものであれば○

   例)一部役員の決定や合意が慣行上その団体の決定として扱われてきている場合

     当該決定が構成事業者により団体の決定として遵守すべきとの認識がある場合

<各論> 8条の各号のいずれか検討 ※各号の関係、3条等との関係も重要

@ 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。

 →私的独占の排除、支配、不当な取引制限の相互拘束といった3条の行為要件がなく、

   また、公共の利益に反しての要件もないので、3条より適用範囲が広くなる。

   →行為は何でもよい(事案から拾う)

  @)一定の取引分野、A)競争の実質的制限

   →私的独占、不当な取引制限の場合と同様に考える。

 ※事業者団体の行為が「競争を実質的に制限する」とまでいえない場合

  →8条4号違反を検討する。8条3号に該当する場合もある。

A 第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。

B 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。

  「一定の事業分野」

  →相互に競い合う売り手か買い手の一方だけを考慮する

  ※「一定の取引分野」の場合は、相互に競い合う売り手買い手の両方を考慮する

  →売り手に注目することが多い

     →同種又は類似の商品・役務を供給しうる一群の事業者の範囲

  「現在又は将来の事業者の数を制限する」

  →現構成事業者を排除したり、新規参入を阻止したり、制限したりすること

   直接数を制限している場合のほか、間接的に数を制限する行為をしている場合がある

   例)・当該団体に入会しなければ事業活動を行うことが困難な状況で過酷な入会費

      その他加入資格要件を設定する

     ・アウトサーダー等特定の事業者に供給しない、供給を受けないという指示をだす

     (構成事業者またはその取引先に対する、強い統制力、取引交渉力を利用する)

 ※これらの行為が同時に「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」効果まで

  生じさせていれば、8条1号がメインになる。そこまでには至らない場合でも、8条4号に

  該当する場合もある。この場合は事業者団体の行為ごとに8条3号と同4号を論じる。

C 構成事業者の機能又は活動を不当に制限すること。

 →この場合も行為自体は限定がない。構成事業者の機能、活動を不当に制限することになっているか
を検討する。8条1号で捕捉できない場合に本号の問題となることが多い。

  例) 取引価格、数量、販売先、広告活動等への制限、ほか、価格の非表示の強制等

  「不当に」→公正競争阻害性の認定必要

 ※事業者団体の行為が、同時に「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」

  効果まで生じさせていれば、8条1号がメインになる。

D 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。

  →構成事業者だけでなく、外部の事業者であっても該当

   事業者には「不公正な取引方法」に関する19条違反が成立

   事業者団体自体が事業者の性質も持つ場合は、事業者団体にも19条違反が成立

   公正競争阻害性の認定も必要

 ※これらの行為が同時に「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」効果まで

  生じさせていれば、8条1号がメインになる。

実効性確保手段
(エンフォースメント)

@排除措置命令(8条の2) ※差止め、解散など、既になくなっていても周知措置等可

A課徴金納付命令(8条の3で準用) →8条@、Aの違反の場合のみ

B刑事罰(89条A、95条T@、同U@、90条@A)

民事救済手段

(エンフォースメント)

@不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)

A差止請求(24条) → 8条Dのみ

B独禁法25条Tに基づく損害賠償請求※無過失責任(25条U)、審決前置主義(26条)


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